中村昌宏と理想の餡子

中村昌宏

中村昌宏は元来凝り性な性格です。その為材料にはとにかく神経を使います。中村昌宏が最も神経をとがらせているのは「餡子」です。まだ、中村の父親が、祖父から譲り受けた店を切り盛りしていた頃は、とにかく甘いものならなんでもありがたられていた時代で、お団子に餡子を付けなくとも、砂糖をまぶせば売れるような時代でした。そのため、中村昌宏は幼少期にはとにかく甘い和菓子しか食べておらず、中学生になるとその甘味がくどいと感じてしまい、それほど和菓子自体に魅力を感じられなくなっていまします。

しかし、中学二年生の時に行った修学旅行で京都に行った時に、実家の和菓子よりも甘くない餡子を食べました。その餡子は小豆本来の優しい甘味を生かしながら自然な甘みがあり、優しい味でした。これなら小さいお子さんも、ご年配の方も安心して食べてもらう事ができると思い、お土産で購入して帰りました。

中村昌宏の父さんにそのお土産を食べてもらうと、かなりショックだったらしく、これまでの餡子を使った和菓子とは別に、薄味の餡子を使ったメニューの開発を行いました。中村昌宏のなかで、これまで和菓子は甘いもの。餡子は甘ければ甘いほど良いという固定概念が崩れ、和菓子に対して新しい認識を持った瞬間でもありました。

この頃から、忙しかったお兄さんの代わりに、お父さんと一緒に控えめな甘さの餡子造りに没頭したそうです。最初は甘さが少ないだけで、なんだか薄い味の餡子しか作れませんでしたが、全国各地の小豆を取り寄せ、順に試して行きました。試していくうちに、同じ小豆であっても大きさや触感はもちろんの事、粘り気や甘味、味の濃さ、香りの強さが全然違っていました。

その為、それぞれの特色を理解するために、色々な配合を試して行きました。その結果北海道の大納言をベースに数種類の小豆を混ぜて炊き上げると、理想の甘味になる事を発見しました。最も苦労したのが口どけでした。複数の小豆を利用していますので、それぞれの最も良い所を狙って仕上げないと、いやな舌触りが残ってしまいます。また、砂糖も複数の種類を使い分け、一番甘味が広がりやすい物を使用しています。これによりスッキリとした甘さと舌触りを実現資する事ができました。もちろん従来の物よりも砂糖の量はかなり少な目にしていますので、ダイエット中でも安心して食べる事ができます。この餡子造りの経験が、中村昌宏を和菓子職人への道を歩ませる第一歩になったとの事です。

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